
世界的に有名なオトミ族の刺繍。
イダルゴ州からケレタロ、プエブラ州にかけて山間の村に暮らすオトミ族は、
伝統的に民族衣装などに編み込む、刺繍技術がありました。
動物や草木が文様のように見えるデザインでしたが、彼らは80年代からそれを発展させ、
想像上の動物や鳥を色彩豊かに編んでいく、サテンステッチに変化。
カラフルな色使いとその自由で大柄なデザインは瞬く間にメキシコを代表する刺繍の民芸品になりました。
こちらは珍しいパープルとブラックのツートーン。
89×71cmとかなり大きいサイズで迫力があります。
おそらく80年代半ばくらいに生産されたものでしょう。(刺繍の細かさと絵柄から判断)
マンタとよばれるリネン生地のようなざらついたコットンに、
繊細な糸で流れるような絵柄が縫われています。
花が咲いたのを悦ぶウサギが2羽。 葉を咥えた鷲とハチドリ。
生地全面を軽やかな刺繍で埋めてあります。
オトミ族はプエブラ州からトラスカラ、イダルゴ州にいたるまで広範囲に
居住しているため、それぞれ若干絵柄や技術が異なります。
イダルゴ州テナンゴ・デ・ドリアという村が産地として有名で
12年前ほどエルメスがこの村の職人とコラボレーションした、
ファブリックやバンダナを販売したことで、世界的に知られるようになりました。
それ以後も刺繍のデザインは一人歩きし、様々なブランド(メキシコ国内含む)に
流用(盗用)されてきました。
それほどカラフルで美しいデザインだということでしょう。
またクローズヘンリーボンと呼ばれるステッチ刺繍の技術も特筆もの。
裏に縫い目がありません。
近年はビンテージであるこちらのタイプの色数が少ないものや、
ワンカラーのものがモダンなインテリアとして人気です。
コンディションもよく素晴らしい貴重なオトミ刺繍といえるでしょう。
*一部シミと糸の浮きがございます。画像でご確認ください。
素材/綿 サテン糸 サイズ/縦71 幅89 厚み0.2(cm)