



ペルーで作られる代表的な民芸品のレタブロ。
ボックスにイエス誕生のシーンやノアの箱舟、アダムとイブなど
聖書の内容を具現化したオブジェです。
16世紀頃、スペインの宣教師がカトリックの布教のために、
このような木箱に入った聖人像を持ち歩き、聖書の福音を説いていったそうです。
それがいつしか家畜を守る聖人サン・マルコスを二階建ての木箱で
表現するようになり、"San Marcos Cajon"=サン・マルコスの木箱と呼ばれていました。
アメリカやメキシコも「ニチョ」と呼ばれる同じような箱の祭壇がありますが、
ペルーでは南部のアヤクーチョという街のホアキン・アンタイという木工職人が、
1940年代にサン・マルコスに限らず、ペルーの伝統的な祭りや復活祭、キリスト生誕など
カトリックの行事を表現したものを製作するようになります。
また他の職人によって、木箱も大きな4段や幅広のもの、ひょうたんやクルミといった小さなものも
生産されていくようになりました。
そうのような変化を経て、それらを総称して「レタブロ」=祭壇と呼ばれるように。
こちらはフロレンティノ・ヒメネスさんの息子マビリオンと妻エルビアンの作品。
それまでの二階建ての様式に囚われず、正方形や塔のような形状の箱へ
表現を進化させたヒメネスファミリー。
兄のニコライはアメリカに移住して民芸品職人として著名になりましたが、
マビリオン夫婦はペルーで現役で製作を続けています。
特に大きな作品では、中の人形の表現力が高いことや、ボックスの彩色の美しさで
知られています。
こちらは90年代に作られたイエス生誕のナシミエント。
それぞれキャラクターのサイズ感や捉えた動きがダイナミック。
横断幕から劇場のようにも見えます。
伝統的な表現方法を深めた傑作レタブロ。
毎年サンタフェの国際フォークアートフェステバルにも招待される、
ペルーを代表するクラフトマスターの作品です。
素材/木 革 石膏
サイズ/高さ 27.5 扉が閉じた状態 幅30 開いた状態 幅55 厚み 8(cm)