ハリスコ州トラケパケとトナラの間にある小さな地域
サンタ・クルス・ラス・ウエルタスで細々と作られている
バロ・ベトゥスと呼ばれる陶芸品。
凹凸のある表面が特徴で、カラフルかつ不思議なモチーフの
オブジェや玩具のようなものが製作されています。
こちらは60代半ばになる職人セラピオ・メドラーノさんの
作品で、目が飛び出たユニークな土人形。
ハリスコ州でもトナラ伝説があり民芸品のモチーフとして人気です。
明るいイエローカラーのナワル人形。
人面感はないですが、奇妙さは抜群に仕上がっております。
素材/陶器 藁 針金
サイズ/縦14 幅 6 奥行き14(cm)
【バロ・ベトゥス】
ハリスコ州の陶芸生産で有名な街トナラの西にあるバリオ(地域)、
サンタ・クルス・デ・ラス・ウエルタス。
なんの変哲もない下町ですが、ここにメキシコ民芸では
名の知られた3つの陶芸工房があります。
共通の陶芸技法はカラフルな彩色陶芸人形やオブジェ。
BETUSと呼ばれる松の樹の樹脂を顔料と混ぜ、釉薬として
色付けすると、モコモコとした質感になる不思議な陶芸品です。
60年代にこの町のカンデラリオ・メドラーノという職人の作品を
アレクサンダー・ジラルドを始め米国のデザイナーやコレクターが
こぞって収集するようになり、広く知られることになりました。
現在、国内外で最も有名なのがオルテガ工房。
現在はヘラルド・オルテガさんが代表的な七面鳥や生命の樹などを製作。
メキシコ各地の民芸品でも販売されています。
もう2つはメドラーノ家で、カンデラリオの息子セラピオさんと娘のマリアさんの工房と
甥っ子のフアン・ラモスさんの工房があり、奥さんのヨランダさんもバロ・ベトゥスの職人でした。

(セラピオ・メドラーノ 2021年6月撮影)
そもそもオルテガ家とメドラーノ家も遠縁の親戚だそうで
スタイルやモチーフを変化させながら、この小さな町の伝統を引き継いだ陶芸品を
作り続けています。

(ファン・ラモス・メドラーノ 2021年6月 撮影)

(工房に貼られていたヨランダ・アセロの大きなバナー)