メキシコ州メテペックは随一の陶器生産が盛んな街。
職人や工房がたくさんいる中で、 ソテノという名字を持つ一族がいます。
下記の説明にもありますが、日用品の陶器や土器を作っていた職人のダリオ・ソテノの妻である
モデスタ・フェルナンデスが1930年代ごろ、余った土で子供のための玩具を作り出したことから始まります。
それらをセットにして子供の魔除け人形として生産を始めました。
これらは鋳型を持つ子供たちと孫たちに引き継がれ、現在でも少量ですが生産されています。
こちらはマンチャド=濁点と呼ばれる人形のシリーズ。
下地のジェッソ(石膏)で塗られた上にピンクとイエロー、グリーンの点描をつけていきます。
職人によってしっかり円になっているものもあれば、こちらにように適当に塗られているタイプも。
珍しい細かな点模様が無数に描かれています。
製作した職人は カルロス・モイセス・ソテノ。
モデスタの六番目の子供ティブルシオの息子で、3世代目の職人です。
このような伝統的な作品を作る際は アニリン染料を使用しており、染料には薬剤が混ぜられ褪色しないようにしているそう。
緩い表情をした水玉のニワトリはインテリアとして明るい雰囲気を醸し出してくれそうです。

(2023年3月 撮影)
【メテペックの陶芸】
メキシコ州トルーカの離れ町メテペックは、陶器生産が盛んな町。
大昔は山岳地帯 ネバダ・デ・トルーカの湖の一部だったという地質から
陶芸に良質の粘土がよく産出したようです。
現在でもたくさんの工房があり民芸品だけでなく、食器や植木鉢など日用品の焼き物も生産されています。
一躍、この小さな町の名を知らしめたのはモデスタ・フェルナンデスという女性の職人。
彼女が作っていた水玉の小さな魔除け人形を1920年頃、ディエゴ・リベラが絶賛し、
メキシコシティの民芸博物館で個展まで開催させたそうな。
息子や娘たちも焼き物作りを手伝い、それぞれ工房をもつようになります。
彼らは現在ソテノファミリーと呼ばれ、ビビッドな色彩の生命の木や人魚を現在でも
作り続けています。
またゴンザレス工房やオルテガ工房など著名な職人がいる名工房では主にナチュラルな
土の素地を基調とした生命の樹や土人形の一大産地でもあり、
日用品の器に至るまで様々な陶器が生産されている街でもあります。

(モデスタ・フェルナンデス)
素材/陶器
サイズ/高さ 20 幅 7 奥行き 17 (cm)